アクセルグリップ握りしめ

オフロードバイク、セローと共に成長していく、初心者ライダー奮闘記

どんな道でも~千葉、林道デビュー 完結

「はぁ~、なんかやり遂げた感!」 私が言うとヨシさんも、 「確かに~。正直、今日はもうオフロードはお腹いっぱいな感じ」 と苦笑しました。 「俺、既にあちこち筋肉痛だよ」 「え、そうなの?」 意外でした。 アメリカンバイクでオフロードを走ってしまう…

露呈する人間性~千葉、林道デビュー②

最初はごく普通の峠道でした。 道幅も狭く勾配はあるものの、ひび割れながらもちゃんとした舗装路だったのです。 しばらく進むと、 「砂利が始まるよ~」 ヨシさんの言う通り、ダートが始まります。 緊張しながら私もスタンディング姿勢を取って砂利の上へと…

未知なるダート~千葉、林道デビュー①

神奈川県と千葉県とを結ぶアクアラインの途上にあるパーキングエリア、『海ほたる』。 そこにセロー2台を並べて駐輪し、軽く休憩を取ることにします。 まだ朝早い時間の為、営業しているお店は殆どありません。 「ちうさん、どうしたの?」 ショップガイドに…

価値観の相違~バーガーツーリング 後編

「やぁ~、気持ちいいなぁ」 風を感じながら私は、Oさんのセリフに同意しました。 オフ車とSSは確かに特性は違いますが、走る速度やツーリング形態を合わせればちゃんと一緒に楽しめるのだなぁと思い、嬉しくなります。 OさんのNinjaはカーブの度にバンクし…

梅雨の晴れ間に~バーガーツーリング 前編

「なぁ、明日雨降らないみたいだし、バーガー食いに行かない?」 不意に聞こえてきた知人男性の呼びかけは、彼の隣にいる、別の男性へと向けられたものでした。 「お、そうなの?」 「そう。予報だと、夕方まで天気持つみたいだよ。行く?」 「いいねぇ。行…

ライダーの在るべき姿~後編

今回の記事で前編中編を公開したところ、私の想像を遥かに越える反響が起こりました。 あたたかいお言葉を寄せて下さった皆様方、本当にありがとうございました。 私は件のお二人を、糾弾するつもりは一切ありません。 結局私は無事故で過ごせましたし、バイ…

ライダーの在るべき姿~中編

縁あってオフロードバイクに乗っているのですから、せっかくならオフロードを走りたいと考えていました。 でもヨシさんのバイクはアメリカンです。 オフロードに付き添ってもらうわけにはいきません。 初心者が、まして女性が、一人でオフロードに入るのは絶…

ライダーの在るべき姿~前編

あきにゃんさんとの、御荷鉾山林道ツーリングの帰り道──。 高速道路で大型トラックの後ろを走りながら私は、一人つらつら考えていました。 今日ダートを走り終わった後、あきにゃんさんは言いました。 「ここくらいの道を恐怖心なく走れるようになってから、…

馴染みダートの安心感~御荷鉾山林道ツーリング 完結編

私のセローも砂利道へと入って行きます。 …あ 不意に、転倒した時の感覚が蘇りました。 私自身の制御ではどうにもならず、ほんの一瞬で天地がひっくり返った、あの感覚です。 恐怖に捉われそうになる心を、なんとか理性で押さえ付けます。 「大丈夫…」 自分…

100年の迷路~御荷鉾山林道ツーリング②

「実のところ」 前方を走っているあきにゃんさんが、静かに切り出しました。 「今走っている道が合ってるのかどうか、自信がありません」 「あはは、マジですかぁ」 最初の目的地である秩父高原牧場を目指しながら、私とあきにゃんさんはそんな会話を交わし…

新たなる出逢いと共に~御荷鉾山林道ツーリング

「セローを買おうと思う」 ヨシさんから打ち明けられたのは、5月GW明けの平日のことでした。 驚くのも束の間、そのわずか3日後にヨシさんはファイナルエディション購入契約を結び、その約2週間後、28日には納車の運びとなりました。 とんとん拍子に進んでい…

河川敷の誘い〜足尾、鹿沼、荒川 完結

県道11号を進んで埼玉県に入ると、渡良瀬川遊水池の脇を抜けます。 荒川に差し掛かると、川沿いの小道へと入っていきました。それは国道の渋滞を回避する為でもありましたが、純粋にその道を楽しみたかったからでもあります。 埼玉県と東京都を流れる荒川は…

思いがけない桃源郷〜足尾、鹿沼、荒川②

県道15号線は最初、ごく緩やかな峠道でした。滑らかな走りに安堵します。 ですが、 「まだまだこれからだよ〜」 とヨシさんが言う通り、どんどん道幅が狭くなっていきました。 そうして走り進んでいくと、 「次に来るカーブ、ほぼ180°ターンのピストンカーブ…

二回目の初心者〜足尾、鹿沼、荒川ツー①

出逢いはいつも唐突です 「さむっ…」 それは4月第2週目の、平日早朝のこと──。 今年は例年よりもあたたかい春となった為、ここ数日街中では薄手のコートが目につきました。 ですがその朝は吐く息も白く、肌寒さも感じたため、冬物ジャケットを引っ張り出して…

2020年、走り納めツーリング

「…なんか、人の気配がないよね」 私がポツリと呟くと、前方を走るヨシさんが「えぇっ!? そんなことないよ」とムキになって否定しました。 「そこの角を曲がったら賑わってるんだよ。ほら、そんな気配がしてきたでしょ」 「…え? ううん、全然」 「…」 202…

果てなき20m〜奥多摩林道 完結編

バイクは私の頭上を飛び越え、真後ろに落下しました。 がなり立てるセローのエンジン音が赤子の癇癪泣きのように耳をつんざいたので、慌ててエンジンを停止させます。 でも、私が出来たのはそこまで。 座り込んだまま放心状態で倒れ込んだセローを見つめます…

頭上飛ぶ愛車〜奥多摩林道 ②

林道の戻りでは転倒せずに走れました。 一旦公道に出て、公衆トイレの手前にバイクを停めてトイレ休憩です。 「戻りでは転ばずに済みましたね」 THさんから言われ、 「はい、戻りは下りだったのでエンストしなかったからかもしれません」 「あぁ、なるほど」…

倒けつ転びつ〜奥多摩林道 ①

10月第4週の日曜日。 セローに跨るや、東京郊外へと赴きます。 最近、待ち合わせ場所までは高速道路を使うことが多かったのですが、その日の集合場所は東京都内だったので、ツーリング気分を味わいながら下道でのんびり2時間かけて向かいました。 天気も良…

闇の峠道〜静岡、寸又峡 後編

吊り橋は一方通行でした。 橋を渡り切ったら、徒歩で渓谷を迂回して戻らなければいけません。 そのことについては、橋を渡る手前から散々注意書きが提示されてありました。 ですが私もヨシさんも、さほどの考えも覚悟もなく橋を渡ってしまったのです。 「お…

夢の吊り橋〜静岡、寸又峡 前編

10月3週目の日曜日の早朝、私はヨシさんと連れ立って東名高速道路を下っていました。 「電熱線着てきて正解だったわ」 ヨシさんがしきりに言っているように、つい先日までの残暑はどこへやら、冷たい風が容赦なく吹き付けて来ました。 「ちうさん大丈夫〜? …

陽射しの恵み〜軽井沢ツーリング 完結編

鬼押出し園を後にし、ガソリンスタンドで給油しました。 国道406号線を進みます。 街中の広い道でしたが、右折して更に進むと楽しげな峠道となりました。 「ここも国道なんですね〜」 「そうなんですよ。結構面白い道ですよね」 国道は国道でも、交通量が少…

清涼の地〜軽井沢ツーリング②

18号線を更に進み、いよいよ峠道の始まりです。 峠はいつもワクワクします。 碓氷峠(うすいとうげ)は、群馬県安中市松井田町坂本と長野県北佐久郡軽井沢町との境にあります。標高は約960メートル だそうです。 最初のカーブで、あきにゃんさんを乗せたアフ…

時間厳守の三人で〜軽井沢ツーリング①

夏季休暇も終わり、家事や仕事に追われる日常が戻ってきて約2週間──。 8月最後の日曜日、私はセローに跨り高速に乗って、待ち合わせのSAへと赴きました。 駐輪スペースにバイクを停めてベンチに腰掛け休憩していると、 「ちうさん、おはよう。早いね」 と声…

一年の軌跡〜強面のたい焼き屋さん 後編

小窓を開いた女将さんが、オーダーしていた人たちの名前を次々と呼んでいきました。 「なんか病院の待合室みたいだね〜」 誰かがそう言い、笑いが起こります。 私もヨシさんも、何人ものフォロワーさんにお会いすることが出来ました。 それぞれ挨拶を交わし…

ライダー達の集う店〜強面のたい焼き屋さん 前編

『セローにお礼がしたい』 とヨシさんから言われたのは、福島からの弾丸帰還翌日のことでした 福島から帰った翌々日、私はヨシさんとの待ち合わせ場所へと赴きます。 ヨシさんのフューリーは現在修理中のため、今日はセカンドバイクのべスパに工具箱を積んで…

ドナドナのフューリー〜栃木、福島連泊ロンツー 完結編

「えっ、走行不能ってどういうこと?」 愛車フューリーを覗き込んでいるヨシさんに尋ねます。 前回のお話〜 『旅の(強制的)終わり〜栃木、福島連泊ロンツー』↓ https://qmomiji.hatenablog.com/entry/2020/08/27/220058 「ライザーボルトが、折れた」 ヨシさ…

旅の(強制的)終わり〜栃木、福島連泊ロンツー⑤

磐梯吾妻スカイラインを更に走りすすめます。 ヘアピンカーブを2〜3回超えました。 「凄い凄い! 何これ〜?」 一人大はしゃぎになります。 景色がガラリと変わったのです。 先程までは緑豊かな中を走っていました。それはそれで美しかったのですが、感覚は…

火口の散策〜栃木、福島連泊ロンツー④

日光市内のツーリングを終え宿で地図を開くや、次なるルートを考えます。 実は、今回のツーリングはそこまで綿密に計画を立てていませんでした。 初めての連泊ロンツーで自分の体力も読めなかったため、状況や気分次第で行き先を柔軟に変更しようと思ってい…

チャレンジのいろは〜栃木、福島連泊ロンツー③

大笹牧場を後にして走り出すと、山あいの向こう側から白い靄(もや)が発生しています。 霧が濃いなぁと思い見てましたが、よく観察するとそれは雲のようでした。 雲海が出来つつあります。それはそれで美しい光景でした。 先程までくっきりと景色が見れていま…

バイクまみれの幸せ〜栃木、福島連泊ロンツー②

ライダーズカフェ『Bobby』さんを後にし、ヨシさんがよく行くもう一つの滝を目指して走ります。 「そこもすごく小さな滝なんだけどね」、と前置きしながら先導してくれました。 そしてびっくりするほど真っ直ぐな道を進んで行きます。 「この道は何度も走っ…