アクセルグリップ握りしめ

オフロードバイク、セローと共に成長していく、初心者ライダー奮闘記

時間厳守の三人で〜軽井沢ツーリング①

夏季休暇も終わり、家事や仕事に追われる日常が戻ってきて約2週間──。

 

8月最後の日曜日、私はセローに跨り高速に乗って、待ち合わせのSAへと赴きました。

 

駐輪スペースにバイクを停めてベンチに腰掛け休憩していると、

「ちうさん、おはよう。早いね」

と声を掛けられます。

「おはよ〜。ヨシさんこそ」

 

集合時間は朝の8時。

でも時刻はまだ7時過ぎでした。

 

「まぁ俺はここからそこそこ近いしね」

「なるほど。私は時間に余裕を持って出てきたら、わりとすんなり来れちゃって」

「高速で飛ばした?」

「まさか」

安心安全がモットーの私は即座に否定します。

「でも、以前よりは速度を出せるようになったかも」

 

 

そしてヨシさんのバイク、フューリーを見させてもらいます。

「フューリーちゃん、すっかり直ったんだねぇ。良かった良かった」

屈み込み、ローアングルからうっとりと眺めました。

相変わらずの素敵なボディ。

「エンジンガードを付けたんだけど、どうかな?」

「どれどれ? お、いいんじゃない? 機能的〜」

 

そうして見入っていると、やがてやって来る一台のアフリカツイン──。

 

 

「あ、あの人かな?」

「うん、きっとそうだよ」

案の定、アフリカツインに跨るライダーさんが手を振ってくれます。

降車してヘルメットを脱いだその男性に挨拶をしました。

 

「あきにゃんさん、おはようございます」

「おはようございます」

物静かに応じるあきにゃんさん。

「初めまして、ヨシです。今日は急に参加させていただいちゃってすみません」

「いえいえ、今日はよろしくお願いします」

ヨシさんとあきにゃんさんとで軽く自己紹介をし合います。

「それはそうと」

私は腕時計を見ながら続けます。

「全員、早くないですか?」

 

時刻はまだ7時半前。

集合時間の30分も前に、本日のツーリング参加者全員が揃ったことになります。

 

 

「今日なんですけど」

結局、SAのフードコートで3人、朝食を摂ることになりました。

食べながらあきにゃんさんが切り出します。

碓氷峠を走ってみようかと思ってるんですが」

「はい、いいと思いますよ〜」

ヨシさんが応えます。

私はそれがどういう道なのかも分からないので、任せますという意味を込め無言で頷きました。

 

「旧道と、新道とがあるんですよ。新道の方が道が広くて走りやすいんですが、大型トラックとかも多いかもしれません。旧道は峠道なのでどうかなと迷ったんですが…」

あきにゃんさんが私の方を見て続けます。

「ブログに、だいぶ上達されたと書かれていたので」

 

栃木、福島連泊ロンツーのブログを読んでくださったのでしょう。

私には上達したという自覚はなかったのですが、一緒に走ったヨシさんからはそう言って貰えたのでそれを書いたのでした。

 

「多分、旧道でも大丈夫だと思いますよ」

道と私の運転レベルの両方を知っているヨシさんが、あきにゃんさんにそう応えてくれました。

「じゃあ、旧道で」

私もそう言います。

どうせ走るなら大型トラックが飛ばす真っ直ぐな道より、峠の方が楽しそうだと思ったのです。

 

 

3人でインカムを繋げ、走り出します。

まだしばらくは高速道路です。あきにゃんさんが先導をとってくれました。

 

 

林道で何度かご一緒させていただいたことのある、あきにゃんさん。

その時はあきにゃんさんのバイクはCRFだったので、アフリカツインと一緒に走るのは今日が初めてです。

 

今日は私とあきにゃんさんとの二人でオンロードツーリングをする予定でした。

ところが、決行の前々日となり、ヨシさんのフューリーがついに復活したとの知らせを受けたのです。

 

折れたライザーボルトを取り寄せ取り付けるだけなのかと思いきや、ハンドルそのものを全て変え、ついでにクラッチワイヤーとリアタイヤまで交換するという、大手術となっていたようです。

ヨシさんが自分で整備した為、試走は必須。ですが一人では心配です。

そこであきにゃんさんに事情を話し、今回のツーリングにヨシさんも交えていただくことになったのです。

 

 

関越自動車道から上信越自動車道に入り、三車線の道を軽快に走り進めます。

群馬県に入りました。

天気も良く、気持ちのいい日です。

「あ、ヤバい…」

私が声を発すると、それまで会話していたお二人に耳を傾ける気配がありました。

「眠くなってきた」

あはは、と笑い声がしました。

「大丈夫〜?」

「うん、大丈夫じゃないかも。眠気覚ましにヨシさんなんか歌って」

「いやぁ〜、ちうさん自らどうぞ」

「え〜。じゃあ皆で一緒に何か歌いましょう」

「あの」

あきにゃんさんが笑いながら言ってくれます。

「あと20分程で高速降りるので」

 

 

松井田妙義ICで降り、そこから先は下道になります。

高速道路の単調な道ではなくなったので、眠気も収まりました。

国道18号線を進み、『おぎのや』さんで休憩を取ります。

「ここの釜飯美味いんですよ」

「へぇ〜」

朝食も食べたばかりで時間帯が合わなかったのですが、確かに美味しそうな釜飯屋さんでした。

今度来たら是非食べてみようと決意します。

道の駅のような造りになっており、トイレをお借りし水分補給をして休憩しました。

 

 

更に18号線を進んで行った先に、その橋はありました。

碓氷第三橋梁、その名も『めがね橋』です。

 

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明治25年に完成したレンガのアーチ橋です。川底からの高さは31mもあります。それは日本最大級のものだそうです。
4連の雄大なアーチ橋に見入りました。

「上にあがって歩けるみたいです」

あきにゃんさんが指差しながら教えてくれます。

見上げると、確かに橋の上を歩いている人影がちらほら見受けられました。

『何とかと煙は高い所が好き』、私は橋を登りたくてウズウズしましたが、

「まぁ、僕は行きませんが」

と言われたのでその気持ちは抑えることに。

次回来たら登ってみようと密かに決意します。

 

何枚かの写真を撮ってめがね橋を後にしました。

次はいよいよ、碓氷峠を登って行きます。