アクセルグリップ握りしめ

オフロードバイク、セローと共に成長していく、初心者ライダー奮闘記

清涼の地〜軽井沢ツーリング②

18号線を更に進み、いよいよ峠道の始まりです。

峠はいつもワクワクします。

 

碓氷峠(うすいとうげ)は、群馬県安中市松井田町坂本と長野県北佐久郡軽井沢町との境にあります。標高は約960メートル だそうです。

 

最初のカーブで、あきにゃんさんを乗せたアフリカツインが車体を倒しながら軽快に曲がって行きました。

 

おぉ、カッコイイ!

 

高速道路であきにゃんさんの後ろを走っている時は、なんてパワーのあるバイクなんだろうと思いました。

軽々とスピードを上げられる様は、スポーツバイクさながらです。

でも上りの峠道でも軽快にカーブを越えていくのを目にして、こんな走りも出来るのかと驚きました。

 

「いいですねぇ、アフツイ…」

思わず声が漏れます。

「これ、砂地も走れるそうなんですよ」

あきにゃんさんが応えます。

「確か、大陸が横断出来るとかいうバイクですよね?」

ヨシさんの質問に、

「はい。あ、でもそれはもっと排気量の少ないやつですけど」

セロー一筋の私は、普段なら他のバイクを羨むことはないのですが、あきにゃんさんのアフリカツインの高速スピードと峠走行を目にし、どんな道でも軽々と走れるバイクは素敵だなと素直に思いました。

 

せめてあきにゃんさんの走りを見習おうと、懸命に真似をします。

 

「あ、追いついちゃった」

あきにゃんさんが独りごち、スピードを緩めました。

前の車に追い付き、乗用車の後ろを走ることになります。

 

「この道は木陰になっていて涼しいねぇ」

私が言うと、

「そうだね」

とヨシさんが応えました。

「地上より気温も5℃くらい低いと思いますよ」

あきにゃんがそう言います。

 

碓氷峠を走り進める程にどんどん気温は下がり、涼しく快適な走行が楽しめました。

 

「なんか。前の車、煽ってません?」

私達の二台前の車がゆっくりペースなのですが、その後ろを走る車がぴったり先頭車両の後ろにくっついているのです。

「確かに。煽り気味ですね」

煽り運転の罰則が厳しくなりましたが、さすがにこんな峠道では取り締まれないんでしょうね」

 

でも確かに、先頭車両のスピードは初心者の私ですら焦れったくなる程に低速でした。

 

碓氷峠はヘアピンカーブの続く刺激的な道だったのかもしれませんが、そのお陰で峠を走っている感覚を味わえずに終わってしまいました。

 

 

いよいよ長野県に入ります。

 

「あっちに行くと、すぐ軽井沢駅なんですよ」

あきにゃんさんが教えてくれます。

「へぇ〜。どおりで、混雑していると思いました」

私が軽く見回しながら応えます。

「いえ、これ空いてる方ですよ」

「えっ、そうなんですか?」

「はい。普段はここ、すごく渋滞してるんです。日曜日のこの時間帯にこんなスムーズに走れるのは、かなり珍しいと思いますよ」

「やっぱりコロナの影響ですかねぇ」

「かもしれませんし、夏休みが終わったばかりだからかもしれませんね」

 

 

軽井沢ならではのお洒落な通りを走り進めます。

よく知っているドラッグストアやチェーン系ファーストフード店なども、この街ではお洒落な店構えとなっていました。

 

18号線を折れ、やがて国道146号線『浅間、白根、志賀さわやか街道』へ。

ペンションや別荘も目立ち始めました。

 

と、ヘルメットのシールドにポツポツと水滴が当たります。

「…雨?」

私が呟くように聞くと、

「雨ですね」

とあきにゃんさんが応えました。

「ヤバい、進行方向で降るみたいです」

雨男のヨシさんが、例よって雨雲レーダーを見ながら教えてくれました。

「ヨシさん、さすがだわぁ…」

ヨシさんと一緒にツーリングするようになって、ツーリング中雨に降られなかったことは2回しかありません。

「あはは…」

乾いた笑いで誤魔化されました。

 

三又を左に進み、路肩にバイクを停めると三人一列でレインコートを着ます。

迷いながらも、念の為レインパンツも履きました。

 

「すぐ先が料金所なので」

あきにゃんさんが指さした先に料金所がありました。

「はーい」

「あそこ、ETCが使えないので現金の用意をお願いします」

「了解でーす」

 

 

料金所を通過し、『鬼押ハイウェイ』に入ります。

 

「おぉ〜綺麗な道〜」

その真っ直ぐな美しい道に歓声が漏れました。

両側に立ち並ぶ木々は綺麗に剪定され、走り抜ける私達を歓迎するように佇んでいます。

 

ライダーが好む有料道路は、大抵程よいワインディングとなっているのですが、ここは見晴らしのいい直線道路でした。

紅葉の季節はさぞ見応えがあるんだろうなと思いながら走り進みます。

 

「あれ? 雨止みました?」

あきにゃんさんがそう言いました。

まだ路面は濡れていますが、確かにシールドに水滴は当たらなくなっています。

「ホントだ。止んだみたいですね」

私が応えます。

「レインコートを着た途端に雨が止むのも、ライダーあるあるですよね〜」

ヨシさんのセリフに、私とあきにゃんさんとで笑いながら同意しました。

 

 

やがて到着した『鬼押出し園』。

 

バイクを駐輪するや、三人並んで先程着たレインコートを脱ぎました。

レインパンツまで履く必要なかったなぁと、私は少し後悔します。

 

鬼押出し園(おにおしだしえん)は、群馬県吾妻郡嬬恋村にある公園です。1783年(天明3年)におきた浅間山の噴火の際に流れ出た溶岩で形成された奇勝を巡回できます。

 

園内には浅間山観音堂が設置されており、浅間山噴火の犠牲者を弔う目的なのだそうです。

 

 

「すごい、独特の世界観ですね〜」

入場料を払い園内を散策しながら私が感嘆混じりにそう言います。

ゴツゴツとした岩が重なり合い、どこまでも広がっているのです。

あきにゃんさんが頷き同意してくれた後、

「岩もそうですが、ここは建造物も中国みたいな雰囲気を醸し出していて、中々面白いですよね」

「あ、確かに」

赤く彩られた建造物は、確かに日本の神社仏閣と言うよりは中国のそれを連想させました。

 

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浅間観音堂で参拝してから、しばし休憩を取ります。

 

「ソフトクリームを食べようかな」

不意にあきにゃんさんがそう言い、売店でソフトクリームを注文し始めました。

ヨシさんもそれに倣い、窓口に並びます。

「私はどうしよっかな〜?」

ソフトクリームよりもおやきの方が気になったので、私は野沢菜のおやきを注文します。

 

三人で軽く腹拵えをした後、景色を眺めました。

 

 

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先程までの雨は何処へやら、青空が広がり太陽も姿を見せています。

 

ですが、浅間山方向から吹いてくる風は涼やかで心地よく、異国情緒溢れるそのロケーションを充分に堪能する事が出来たのでした。