アクセルグリップ握りしめ

オフロードバイク、セローと共に成長していく、初心者ライダー奮闘記

火口の散策〜栃木、福島連泊ロンツー④

日光市内のツーリングを終え宿で地図を開くや、次なるルートを考えます。

 

実は、今回のツーリングはそこまで綿密に計画を立てていませんでした。

初めての連泊ロンツーで自分の体力も読めなかったため、状況や気分次第で行き先を柔軟に変更しようと思っていたのです。

もし疲れたならば、適当に切り上げて帰ることも想定していました。

 

そのため明日以降の予定は未定。

さてどこへ行こうかなと考えを巡らせます。

場所的には群馬が近いかなと思いました。

群馬も、林道ツーリングでしか行ったことがないため見どころが沢山あります。

 

ですが私は、福島にも惹かれていたのです。

福島の猪苗代湖は是非とも見たいと思っていました。

猪苗代湖まででしたら、ここからそう遠い距離ではありません。

福島は自宅からですと距離もありますし、冬は積雪や凍結もしてしまう地域のため、この機会を逃すと行けなくなるかもしれません。

 

「よしっ!」

行き先は福島へと決定しました。

 

 

 

3日目の朝──。

国道4号線を進んで県境を超えます。

福島県内です。

東北地方のツーリングは初めて。

それだけで気分が高揚しました。

 

国道294号線に入り、やがて県道9号線と交わります。

「おぉっ」

進んでいくと、キラキラとゆらめく水の広がりが見えて来ました。

猪苗代湖です。

県道9号線は、猪苗代湖のすぐ隣を走れる道でした。

よく晴れた空を、猪苗代湖の水面が映し出しています。

 

 

バイクを停めて湖畔を散策です。

水着で泳いでいる家族連れもいました。

この日の気温は35℃超え、天気も快晴で、その分真夏の陽射しが照りつけます。

確かに泳いだら気持ち良さそうだなと思いながら、水の中へと手を浸します。

 

冷たい水が火照った掌に心地よく絡みついてきました。

 

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海と違って波や水の塩辛さもなく、川と違って流される心配もありません。

小さい子供たちがキャッキャ言いながら水浴びしている様に和みました。

 

 

バイクに跨り出発です。

 

湖畔沿いを走っていると道の駅の標識があったので立ち寄ることにします。

『道の駅 猪苗代』でバイクを駐輪させ、水分補給とトイレ休憩を取りました。

 

ふと、道の駅構内にあるパンフレットに目が止まります。この辺りはそば処なようで、色々なお蕎麦屋さんが紹介されていました。

「お蕎麦…」

 

もうすぐお昼時です。

せっかくだから食べて行こうと思いました。

何処のお蕎麦屋さんにしようかと、そのパンフレットを手に取り吟味します。

十割蕎麦を謳ってる所がいいと思い、1軒のお蕎麦屋さんに決めました。会津産のそば粉を100%使ってるという情報が決め手でした。

 

そこまでのルートを調べ向かってみます。

 

そのお蕎麦屋さんは人気店なようで車が沢山停まっており、順番待ちの人達が店の外にまで溢れていました。

 

ですが店員さんに一人だと告げると、すぐに席へと案内して貰えました。

私は順番待ちしている方々に会釈しながら店内へと足を踏み入れます。

 

一人の身軽さは、こういう時有利に働くものです。

 

 

やがてやって来た、ざる蕎麦と天ぷら盛り合わせ。

 

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風味豊かなお蕎麦と、サクサクの天ぷらに舌鼓を打ちます。

 

 

食事を終え、国道115号線を更に進みます。

 

ふと目に入った遥か向こうに聳える山の、存在感に圧倒されました。山のてっぺんにだけ緑がなく、土のような色がさらけ出されていたのです。

「凄い!  景観だなぁ」

 

 

徐々に、街中から山道へと移り変わります。

そして県道70号線に入りました。

日本の道100選』のゲートをくぐり、いよいよ始まります。

 

 

磐梯吾妻スカイライン』です。

 

 

なんて美しい道なんだろうと思いました。

そして、他の時期も見てみたいとも。

今は夏なので草木か深く生い茂っていますが、これが新録なら? 紅葉していたらどうなんだろうと、この道の色んな表情を想像してしまいます。

 

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更にワインディングを進むと、先程目にしたあの山に迫ってきていました。

 

 

 

『浄土平ビジターセンター』の駐車場へ入ろうとする、車やバイクが列をなしていました。

料金所で駐輪代を払いバイクを停めます。

 

 

そして見上げました。

 

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『吾妻小富士』です。

吾妻小富士は、福島県福島市にある標高1,707mの吾妻連峰の一つで、すり鉢状の大きな火口があります。麓の福島市側から見るとそれがあたかも小型の富士山のように見えることからこの名が付いたそうです。

 

階段で山頂まで上れるようなので、迷うことなく上って行きます。

 

階段は丸太で作られていましたが、それが朽ちていたり不揃いだったりで、歩くのに注意が必要でした。

小石や土も滑りそうです。

階段の長さと急斜面の上り、夏の暑さも相俟って汗だくになります。

 

 

「わぁ!」

最後の1段を上がり切ると、一気に景色が広がりました。

 

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火口の上は歩けるようで、たくさんの人が歩いていました。

 

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まさか歩けるとは思わなかったので、はしゃぎながら歩き進めます。

 

 

ここまで階段を上って来た時とは想像もつかないほどに、涼しく心地いい風が吹いています。

無数のトンボが飛び交っていました。

 

 

火口の上を歩く。

それも、バイクに出逢ったことで実現出来た、人生初の経験でした。