家に帰って落ち着くと、まずSさんにLINEを送りました。
立ちゴケしてしまったことも報告した上で、ツーリングアプリでの今日の経路と走行距離の写真を送信します。
『ちゃんと下道で千葉まで行ってきました〜。
…まぁ、立ちゴケはしちゃったけれども。及第点は貰えますか?』
『お疲れ様です。
オフロードバイクで400kmもの走行は大変だったと思います。成長しましたね』
ということは、おそらく合格点は貰えたのだろうと思います。
Sさんの出す課題は無茶なようでいて、やってみると案外私の力量とペースに合っていました。そして課題をクリアする度に、確実にステップアップしてこれたのです。
『次の課題が欲しい。次、何かある?』
そうしてSさんの提示してくれた次の課題は、甲信越を除く関東制覇でした。おそらくこれも、高速道路を使わず下道で、なのでしょう。
神奈川、東京、埼玉、そして今日の千葉は既にクリアしました。残るは、茨城、栃木、群馬の3県です。
3県とも神奈川からは遠く離れています。
でも、そこにはどんな景色が広がっているのか、そしてどんな道を走ることが出来るのか、次なる目標に向けてワクワクしたのでした。
──と。
今まででしたらこの辺りでブログを終えているところですが、今回のツーリングは初のロングツーリングということもあり、『節目を感じた』と①でも書きました。
まだ、少しだけ続きます。
ここで私は、二輪教習卒業検定の日の、教官の言葉を思い出したのです。
もはや教習時代からのブログを読んで下さっている方は少ないかもしれないので、リンクを貼ります。
『卒業検定〜舞台裏編』↓
https://qmomiji.hatenablog.com/entry/2019/11/11/221201
それは卒検を終えたばかりの私を含む教習生達が、公道に出ることが不安だと教官に訴えた時、『公道を走ることに慣れてきたなと感じた頃、今のその気持ちを思い出してみてください』との言葉でした。
私は、今がその時なんじゃないかと思ったのです。
正直、公道を走ることに『慣れて』きていました。決して舐めてかかっているわけではないのですが、確実に慣れてはきていたのです。
いい機会だと思い、あの時の教官の言葉に一体どんな意味があったのか、じっくり考えてみました。
二輪教習には路上講習はありません。
卒検に合格し、免許を取得して初めて公道に走り出ます。
そのため、不安と恐怖心とで公道に出ることが躊躇われる免許取得者も数多くいます。私もそのうちの一人でした。
今でこそソロでのロングツーリングを走れるようになった私ですが、初めての公道はSさんが付き添ってくれなければ1mも走れなかったかもしれません。
それ程に怖く、不安な事なのです。
私はその状態がベストだったとは思えません。
両肩に力を入れてハンドルを掴み、視野も狭くビクビクと走行していました。それでは、かえって危険です。
教官も、その状態を保てという意味で言ったのではなかったのだと思います。
走ることで感じたのは、公道には思いもよらない危険がたくさん潜んでいるのだということでした。
特にバイクは風の抵抗も受けやすく、路面状態や障害物の影響も、四輪車よりはるかに大きいのです。たった一度の転倒が大事故、ひいては命を危険に晒すことだってあります。
一瞬の油断が命取りになります。
おそらく、その緊張感を忘れずにいって欲しいと言いたかったのではないかと結論づけました。
バイクは怖い。
バイクは危険。
その事を忘れないようにしようと思いました。
公道は危険に満ち溢れていて、常に『死』と隣り合わせの状態なのだということも。
運転に慣れてくると、つい『楽しさ』にばかり目が行ってしまいがちです。
でも最初に感じていた怖さも不安感も、安全な走行を続けるためには不可欠なものなのだと思います。
そこを忘れずにいきたいと思ったのです。
そしてその上で、それでも私は走りたいと思うのです。
私の寿命が何歳までで、私の足腰があと何年しっかり動いてくれるのか、運転における適切な判断が出来る脳はあと何年持ってくれるのか、それは神のみぞ知ることです。
人よりバイクを始めたのが遅い分、無駄に出来る時間は一片もありません。
行きたい所は無限大、でも行ける時間は有限です。
怖い、不安だと部屋の中で縮こまり、『タイムオーバー』を迎えてしまうことの方が、私にはよほど恐ろしいことです。
思えば、バイクと出逢ってまだたったの半年なのです。
初めてバイクに乗せて貰った感動https://qmomiji.hatenablog.com/entry/2019/10/02/121854
初めて運転してみたバイクhttps://qmomiji.hatenablog.com/entry/2019/10/04/101428
そして長い教習生活を経ての卒業検定https://qmomiji.hatenablog.com/entry/2019/11/09/193650
セローを納車し、Sさんから付き添って貰ってのツーリングhttps://qmomiji.hatenablog.com/entry/2019/11/18/211815
そして自分の運転で見た景色に感動し、涙が止まらなくなりました。
https://qmomiji.hatenablog.com/entry/2019/11/20/194236
絶景に溜息をつき、
https://qmomiji.hatenablog.com/entry/2019/12/10/121525
恐怖心と不安感から、半泣きで運転して帰ったこともありました。
https://qmomiji.hatenablog.com/entry/2019/12/21/205510
バイクを知り、セローと出逢い共に走ったことで、今までの年月が嘘のようにたくさんの『人生初』が経験出来ました。
でも、セローと相棒になってまだ2ヶ月も経っていません。
今回自力でルートを決め、ロングツーリングを経験したことで、一つの区切りがついた気がします。
でもまだ始まったばかりなのです。
これは、まだまだ続く私のバイクライフの、序章の終わりに過ぎません。
この先に待ち受けているたくさんのルートが光り輝くものであるよう、セローと共に、楽しく軽快に走り抜けていけたらと切に願い、今回の下道千葉ロングツーリングを閉じることにします。