アクセルグリップ握りしめ

オフロードバイク、セローと共に成長していく、初心者ライダー奮闘記

ダートと陽射し、汗だくで〜御荷鉾林道 完結編

「あっつー」

よねってぃさんが上着を脱ぎます。

「ホントに。暑いですよね」

私も脱ぎ、上半身のプロテクターも外しました。

山の上だというのに、気温は27度にまで上がっていました。陽射しも照りつけます。

 

その展望台の上で、お昼休憩をとることになりました。

 

f:id:qmomiji:20200527074107j:image

 

ただのコンビニおにぎりでしたが、景色を眺めながら食べるそれは最高に美味でした。

 

両隣のお二人が、持参したガスバーナーを使ってインスタントラーメンを作り始めます。

「あー、確かにここでラーメン作って食べたら美味しいんでしょうねぇ」

私もキャンプグッズを買い揃えてあるのでガスバーナーは持っていたのですが、まだ一度も使ったことがありません。

「こういう所に来ると食べたくなるんですよね」

あきにゃんさんが沸騰したお湯に麺を投入させて応えます。

次に機会があれば、私もやってみようと思いました。

 

 

食べながら、ようやくゆっくりとお話出来ます。

 

あきにゃんさんとよねってぃさんは、元々はバイク繋がりではなかったそうです。

そう言えば初めてよねってぃさんに会った時、友達の影響でオフロードに興味を持った、と言っていました。その友達が、あきにゃんさんなのでしょう。

あきにゃんさんはほぼ毎週、林道をソロで走っているとのことでした。

 

「ちうさんは、どうしてバイクに乗ろうと思ったんですか?」

あきにゃんさんの質問に、一瞬答えが詰まります。

あの時の気持ちを、どう言い表せばいいのか分からなかったのです。

 

 

(バイクに乗ろうと決意した時の記事はこちら↓)

 

https://qmomiji.hatenablog.com/entry/2019/10/06/061011

 

なのでただ一言、

「なんか楽しそうだったからです」

と答えました。

なるほど、と笑うあきにゃんさん。

「でも、女性でオフロードバイクって珍しいと思うんですが、何故それにしたんですか?」

確かに、ファーストバイクがオフ車というのは珍しいことのようでした。

しかも私の場合、特に林道を走りたいという訳でもありませんでした。

当時、バイク選びの相談に乗ってくれていたSさんの助言すらも押し切り、新車のセローにしようと決めたのです。

これはもはや、運命の出逢いだったとしか思えません。

 

「私、キャンプに行きたいんですよ。それで、キャンプ場は未舗装路の先にあることが多いと聞いて。どうせならそういう所も走れるバイクがいいなと思ったんです」

そう、最初はその程度の気持ちでした。

でも。

「でも、セローにしてホントに良かったです。こうして林道を走ることも出来ますし」

「そうですね」

あきにゃんさんが賛同してくれます。

「セローはいいバイクですよね。最初のバイクをセローにして良かったと思いますよ」

穏やかにそう言ってくれたので、胸の中にほんわりとあたたかいものが込み上げました。

 

 

「ここから先はダート走行になります」

お昼休憩も終わり出発の準備をしていると、あきにゃんさんがそう言います。

タイヤの空気を抜かなければいけません。

よねってぃさんがエアゲージを貸してくれたので、それで空気を抜きます。

「というかよねってぃさん。林道デビューつい最近だったのに、もう色々アイテム揃えてるんですね」

よねってぃさんの真新しいオフロードブーツを見ながら私が言います。

「はい、買いました」

朗らかに応えます。

林道デビューを決意してからの、よねってぃさんの行動力には敬服するばかりです。

 

 

いよいよ、ダート走行です。

「フラットだから、初心者でも大丈夫だと思います」

あきにゃんさんが言っていたように、確かにそこは砂利道ではあるものの、恐怖を感じるほどの悪路でもありませんでした。

立ち乗りでバランスを取りながら楽しく進みます。

途中、陥没していたり大きな枝が道を塞いでいたりもしましたが、それもまた刺激的でした。

 

前回の林道ツーリングでは初心者の人が多かったからでしょう、走っては停まり走っては停まりで、休憩をこまめに挟んだのですが、今回は止まらず進みます。

その代わり、あきにゃんさんが私やよねってぃさんのペースに合わせてゆっくり走ってくれました。

 

止まらず走り続けるというただそれだけで、少しだけ難易度が上がったような気がします。その分、楽しさも跳ね上がりました。

障害物を避けながら密かに歓声をあげます。

 

 

いつの間にか息切れしており、立ち乗りでバランスを取り続けていたからか両腿にだるさも感じられてきました。

気温が高く、陽射しも強い日です。

汗だくでした。

管理棟の所で少しだけ休憩を取ります。

「もう汗だくですよ」

「ですよね〜」

よねってぃさんと笑い合いました。

 

下りのダートを抜けるとやがて舗装路に出ます。

ダート走行の後の舗装路はどこかホッとしますが、そんな時こそ転ぶ人が多いから注意が必要、と教えられました。

 

f:id:qmomiji:20200527211937j:image

 

御荷鉾山林道の墓標の前にバイクを並べ、記念撮影です。

 

もうダートは走らないとのことで、よねってぃさんがエアコンプレッサーでタイヤの空気を戻してくれました。

「何から何まですみません」

いずれ私もそれらを買おうと思いました。

 

その後は秩父方面へと戻ります。

あきにゃんさんは私の帰りルートまで気にかけてくれ、遠回りなのに国道16号線まで送って下さいます。

 

「今日はありがとうございました。本当に楽しかったです」

何の衒いもなくそう言えました。

「いえいえ。楽しんでいただけたなら良かったです。僕は毎週のように走ってるので、良ければまた一緒に走りましょう」

そのお言葉が嬉しかったです。

「はい、是非!」

よねってぃさんに向き直ります。

「よねってぃさんも、今日はお誘いありがとうございました。お世話さまでした」

 

 

お二人に手を振り、帰路につきます。

来て良かったなぁと思いました。

昨晩はどうしようかと悩んでいたのですが、やっぱり参加したツーリングは人と人との繋がりが出来、いい刺激になります。

あきにゃんさんの走りは勉強になりましたし、林道でのダート走行もワクワクしました。

ソロツーリングだけでは絶対に走らなかったであろうたくさんの道も、走ることが出来ました。

 

 

これから、私のバイクライフはもっと充実して行くのかな?

そうだといいな。

 

そう思いながら、そっとアクセルを開いたのでした。