アクセルグリップ握りしめ

オフロードバイク、セローと共に成長していく、初心者ライダー奮闘記

ツーリングの伝道師さんとの出逢い

ツーリング:

ツーリング とは、オートバイを移動手段として利用しながら観光地や景勝地などを訪れたり、単なる移動手段としてではなく、オートバイで走ることを楽しむために山岳地や海岸沿いなどをルートに選んで走ることなどの総称である。

Wikipediaより

 

伝道師:

1 伝道に従事する人。キリスト教では正教師の資格を持たない伝道者。補教師。
2 (転じて)物事のよさを人に伝えて広める人。

goo国語辞典より

プラス、道を伝える人。

※本人談

 

懸命に主婦業してきた私ですが、30代も後半に差し掛かり、ふと気付きました。

「あれ? 私、私の人生と言えるものを築けてなくない?」
家族のために頑張ることそのものは尊いことだと思いますし、私なりの矜恃を持ってやってきました。ですが、夫には夫の、子供には子供の人生があり、それは私のものではない。じゃあ私の人生と言えるものは何なのか。私になにが残るのか。ふと気付き、そしてちょっと焦りました。
そこで、家庭から外に出て色々な趣味に興じ始めたわけです。
 
その趣味の一つで繋がり、ご縁あって仲良くなったお友達、それがツーリングの伝道師さん(仮にSさんとします)でした。
 
 
Sさんとは当初、SNSを通じてやり取りをしていたわけですが、正直、私にとっては謎の人でした。SNSなのだから、謎なのは当然なのかもしれませんが、Sさんの場合はちょっと違いました。
SNSの中で知り合う人達の多くは、何かしら「見せたい自分」を全面に押し出して来ます。自分はこういうカラーを持っている、というのを言葉の端々なり画像なりに匂わせ、それをしきりにアピールします。
私もそうでした。そもそも趣味の世界の人との繋がり欲しさで始めたことなので、その趣味に対する知識や取り組む姿勢、自分の人柄などもある程度人が集まりやすいよう無意識に演じてしまっていました。
でも、Sさんにはそんな気配が全く感じられなかったんです。
不思議でした。
この人はどんなキャラクターを持っているのか、彼の書き込みを見ても全く伝わって来ないのです。やがて絡むようになり、やり取りも増えました。
そして、面白い人だなと思ったんです。
 
余談ですが、日本語では「面白い」としか表現出来ない語彙ですね。英語だと「joy」と「interesting」、中国語だと「好玩」と「有意思」。
日本語に当て嵌めるなら、「笑ける人」と「興味深い人物」といったところでしょうか。
彼に抱いた「面白い」は、「interesting」と「有意思」の意味の方。
つまり私にとって彼は、実に興味深い人物だったんです。
 
好奇心を抑えられない私は、SNS上で執拗に絡んでいきます。多くを語らず、なのに書き込みも途切れさせず、私からの絡みは拒みはしないものの無愛想で、なのにいつも律儀に返事が返されます。
そして、使われる言葉のチョイスが驚くほど秀逸だったり、物事を離れた場所から冷めた目で見ているようで的確に分析していたり、独創的な着眼点を持ったりしていました。
 
一体この人は何者なんだろう?
抑えきれない好奇心と、めくるめく新世界の予感を抱き、ついには、リアルで会ってみたいとSさんに持ちかけてみたのです。
 
そして、私のあの時の予感は見事的中したのでした。
 
彼は、バイク乗りであり、ツーリングの伝道師だったのです。
 
このようにして、バイクとは全く違う趣味繋がりでしたが、実際お会いして話してみるとバイク愛に溢れるお方でした。
語られるはツーリングの素晴らしさ。
走り抜ける爽快さ、広がる景色、繰り広げられる出逢い。
彼の話に魅了され、興味は持ったものの、その時は「ふぅん、そんな世界があるのか」程度の認識でした。だって、バイクなんて体力のある若い男性の乗り物というイメージが強かったのです。自分とは無縁の、別の世界の話としてただ聞いて楽しむだけでした。
 
ところがこのSさん、とんでもなく優秀な伝道師スキルをお持ちでした。私の価値観を少しずつ崩し、そして作り替えていったのです。
 
まず第一段階は、タンデム(二人乗り)でした。