アクセルグリップ握りしめ

オフロードバイク、セローと共に成長していく、初心者ライダー奮闘記

水もしたたる〜セロー乗り女子会 後編

雪さんを乗せたグリーンセローが走り出したので、私も追随します。後ろから、ヨシローさんのオレンジセローも付いて来ました。

 

今日まさかオフ会のマスツーリングで、こんな土砂降りの中走ることになろうとは、予想だにしていませんでした。

ですがそれも、ヨシローさんの言葉を借りれば『変態』だからでしょうか。初めてのメンバー、初めてのシチュエーションでの走行に、ついつい気が昂ります。

 

前方の雪さんの走りを見ながら、そういえば、私はSさん以外の人の後ろを走るのはこれが初めてなんだ、とふと気付いたのです。

年末のマスツーリングでも、私はいつものようにSさんの後ろを走りました。

色々な違いを体感します。

そして、「そうそう! セローってこうだよね」という走り方に、嬉しくなっていました。

 

Sさんは青信号になった途端、ヒュンと加速して行きますが、セローの加速は比較的ゆっくりめです。いつも慌ててついて行っています。

ですが、雪さんの走り出しが私のそれとシンクロしたので、気持ちが良かったです。

 

また、セローは止まるのか動くのかの微妙な速度も得意としています。渋滞に引っかかるや、三人とも足も着かずに、信じられないほどの低速走行をしていました。

 

このことも、同じバイクであるがゆえの、一体感を味わえました。

 

カフェに着く頃には、ずぶ濡れになっていました。

完全防水ウエアとヘルメットのお陰で身体と頭部は大丈夫でしたが、手足の先はぐしょぐしょでした。一応、ライディングブーツもグローブも防水の物なのですが、許容範囲を超えてしまったようです。

 

店に面した狭い屋根の下で、せっせと濡れたウエアを脱ぐ三人のバイク女子達。

「こんなずぶ濡れで入っちゃったら申し訳ないし」

と、荷物をまとめていきます。

雪さんが隣でグローブを絞っていました。

私も一応、濡れたものを拭く用にタオルを持って来ていたのですが、そのタオルも絞れる程に水浸しになっていました。

あまりの状態に三人で笑い声をあげてしまいます。

「ブーツを脱いで、靴下も絞りたい感じ。これ、絶対ぐしゃぐしゃですよ」

私が言うと、ヨシローさんも「ホントにね〜」と同意してくれました。

 

 

店内に入ると、申し訳ないくらいのお洒落な空間でした。

「皆さん、バイク乗られてるんですか〜?」

可愛らしい店員さんが聞いてきます。相変わらず三人ともヘルメットを持っているので、一目瞭然なのでしょう。

「はい、そうなんです。すみません、こんな大荷物で」

ヘルメットの他に、上下のウエアも脱いでいたので結構な荷物量になっていました。

「いえいえ、バイク乗れるだなんてカッコイイですね〜。ゆっくりしていってくださいね」

店員さんの優しい一言にホンワカしながら、通されたテーブル席へと着きます。

 

 

先程までは雨の中での屋外、しかもヘルメットもしていたので、ここでようやく三人がゆっくりと顔を合わせることが出来ました。

 

「何食べます〜? お腹空いちゃった」

「ヨシローさん、それずっと言ってましたもんね」

ヨシローさんは、江ノ島で顔を合わせた直後からずっと空腹を訴えていたので、私が「え、成長期?」と言っては笑っていたのでした。

 

料理とパンケーキを注文し、シェアして食べることにしました。「ここのは特大だよ」と雪さんが教えてくれたからです。

ホットコーヒーで乾杯し、ようやく一息つきます。

 

f:id:qmomiji:20200218123803j:image

 

そして色んなことを語り合いました。

 

雪さんはご家族の方とバイクを共有しているのもあり、色んな種類のものに乗っていました。知識も豊富です。

セロー以外のバイクの乗り心地や、大型免許の教習内容などを、ヨシローさんと二人、興味津々に聞き入ります。

 

雪さんはおっとりしていてお優しい方、という印象でしたが、実際に会ってお話を聞くと、何にでも意欲的に取り組み行動力のある方でした。

「もう私、雪さんが戦闘機の運転も出来るって聞いても驚かないわ」

ヨシローさんのセリフに笑いが起こります。

 

 

そしてヨシローさん。

私がいつか走りたいと思っている、オフロードにもガンガン走りに行っている、カッコイイ女性です。

彼女のオフロードについての話を、身を乗り出しながら聞き入りました。

 

どんな悪路でも怖気ず突き進むオフロード乗り。

その度胸と豪放磊落な性格はイメージ通りでした。ですが、このカフェに入るや束ねていた髪をほどき、ロングヘアを揺らめかせながら喋ります。その様はまさに『お洒落女子』そのものでした。

カフェ店員さんへの気遣いも忘れず、私や雪さんに何か困ったことがあると、真っ先に気付いて手を貸してくれていました。

 

 

やがて料理が運ばれてきます。

 

f:id:qmomiji:20200219070144j:image

f:id:qmomiji:20200219070307j:image

f:id:qmomiji:20200219070317j:image

どれもとても美味しく、会話の楽しさも相俟って私は何度も「幸せ〜」とこぼしていました。

そして本当にボリュームがあったのでお腹がいっぱいでしたが、パンケーキが運ばれてきます。

 

f:id:qmomiji:20200219070633j:image

パンケーキの上で、クリームがタワーとなっていました。

それを目にして、満腹の筈なのに「別腹別腹」とはしゃぎながら取り分けます。三人でシェアし、ペロリと平らげてしまいました。

 

 

 

楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。

 

 

「じゃあ、私はあっちだから」

ヨシローさんだけ反対方向なようでした。

私と雪さんが走り去っていく様子を、「動画に撮るね〜」と言ってカメラを構えてくれています。カメラ片手に手を振るヨシローさんに、私と雪さんも手を振り返しながらお別れします。

雪さんとも途中で手を振って別れました。

 

 

いい出会いでした。

本当に楽しいひと時でした。

 

でも。

ここで『楽しかった』で終わらないのが私なようで。どうにも『反省会』の癖がついてしまっています。

 

──今日、私は何もしていない。

 

そう。

今日のオフ会を発案、セッティングしたのはお二人で、行先を決め先導をしてくれたのは雪さんでした。ヨシローさんは誰かが困るとすかさずフォローしていました。

 

私は、ただの『参加者』。

 

楽しみたい、仲間が欲しい友達が欲しいと言うばかりで、結局自分で何もしないのは、雛鳥が口をパクパクさせて餌を待つのと一緒なのではないのでしょうか?

それは甘えなのでは?

 

また悪い方へと考える癖が出てきてしまいました。

 

 

──『甘え』ではなく、『委ねる』と考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

雪さんの言葉を思い出しました。

それは3ヶ月前、納車の前に、私がSさんに甘えすぎているのでは、と悩んだ時期にかけていただいたお言葉です。

その時も、すとん、と私の心に入って来たのです。

 

私は成長過程の要所要所で、色んな方から色んな言葉をかけていただき、たくさんの優しさで支えられてここまで来ることが出来ました。

かけていただいたお言葉も優しさも、全て忘れず自分の糧にしています。

 

 

バイクは、一人で習得し、一人で乗り、一人で運転していかなければいけません。

でも私は、バイクに乗り始めたことで、より多くの人達との繋がりと絆を感じることが出来るようになりました。

 

 

納車から、ちょうど3ヶ月を迎えた今日。

素敵な出逢いと多くの刺激に、ただひたすらの感謝です。