このブログも60記事を超え、だいぶ読んで下さる方も増えてきました。
本当に有り難いことです。
私がバイク乗りを決意し、教習所通いの様子から書き記してきたこのブログ。
そんな初期から書くのは、『ツーリングレポート』としてはとても珍しいことのようです。
今でこそソロであちこち走りに行き、それをアップしている私ですが、当初は不安なことだらけで、随分みっともない自分もさらけ出してきました。
私のその頃からの様子を知った上で時に励まし、時に寄り添ってきてくれた一人の女性がいました。
名前は、雪さん。
同じセロー乗りの方です。
雪さんは、私が教習所に通っていた時から応援して下さっていました。
その段階では、まだ私のバイクをセローにすることは決めていません。なので雪さんは、私が自分と同じセロー乗りになることなど知る前から、親身になってくれていたことになります。
セロー乗り仲間になってからもやり取りは続き、先月、セロー乗り女子達で集まってみたいと何気なく言った時、
『でしたら、他のセロー乗り女子さんと会う予定があるので、一緒にいかがですか?』
と言ってくださいました。
『え、いいんですか? 』
『はい、是非是非』
『嬉しいです! ありがとうございます』
こうして話が進んだセロー乗り女子会。
もう一人のセロー乗り女子さんは、ヨシローさんと仰るそうです。
ツイートを見てみると、オフロードもガンガン走りに行っている、カッコイイお方でした。お会いしたら、色んな刺激を貰えそうでした。
セロー乗り女子会への期待を胸に、当日を迎えます。
ですが、あいにくの雨予報。
実は、雪さんとヨシローさんは過去2回、オフ会を企画しては悪天候により延期になったことで、今回は多少の雨でも決行するとのお達しがありました。
日課の早朝ジョギングをした時には晴れていたので、てっきり予報は外れ、今日は雨は降らないのではないかと淡い期待をします。
ですが、準備をして家を出る頃にはポツポツ降り出して来て、待ち合わせ場所である江ノ島に着く頃には本降りになっていました。
セローを停止させるや、
「初めまして〜。雪です」
優しげな女性が声をかけてきてくれました。
「あ、初めまして。今日はよろしくお願いします」
雪さんの、グリーンのセローの隣に私のセローを駐輪します。
やがて二人で話し込んでいたのですが、雨足はどんどん強まってきました。
「ヨシローさん、遅いですねぇ」
二人でそう言いながらやって来るバイクに目を向けます。しばらく立ち話をしながら過ごしますが、中々やって来ません。
「あれ? 既にどこかで待ってるのかな?」
雪さんと共に不安になり、歩いて少し様子を見に行くことにしました。
やがて。
セローがやって来たのは、遠目でも分かりました。
「あ、来たみたいですよ」
私が言い、雪さんもそれに気付きます。
近付いて来る、私と同じオレンジのセロー。
そのステップに、立ち上がりながら華麗に走行していくヨシローさんの姿。
「カッコイイ…」
二人で惚れ惚れとし、そしてハッと気付きます。
「通り過ぎて行っちゃった!」
ヨシローさんの姿を探して、動き回ってしまったのが災いしてしまいました。
「初めまして、ヨシローです! なんかすごい遅れちゃってすみません」
その後、メールのやり取りでなんとか合流が出来ました。
ヨシローさんは、イメージ通りの溌剌(はつらつ)とした女性でした。
雪さんと私も自己紹介をします。どうやら、雨のせいで道が混雑していたようでした。
江ノ島は雨のせいで、見たことがないくらいにガラガラでした。
「逆に、こんな空いてる江ノ島が見れてラッキーだったかも」
ヨシローさんがそう言いながら歩みを進めます。
雨はどんどん強くなってきました。
ヘルメットをホルダーに掛けると中が濡れてしまう為、三人とも手に持って来ました。雪さんに至っては、ずっとヘルメットを被ったままです。
「こんな雨の日にオフ会を決行するだなんて、やっぱセロー乗りは変態だわ」
ヨシローさんのセリフに、
「間違いないです」
と私も笑いながら同意してしまいます。
江ノ島神社で参拝し、御籤を引いて神社を後にします。
ここで私がトイレに行きたくなり、「トイレってどこでしたっけ?」と聞くと、雪さんがすかさず売店のお姉さんに聞きに行って下さいました。
雪さんは、セローだけでなく、大型バイクにも乗っています。「大型って重くないですか?」と私が聞いた時、
「走り出したら気にならないかな。もし取り回しとかで困ったら、すかさず周囲に助けを呼ぶから大丈夫!」
と笑っていました。
道が分からなければ誰かに聞く。取り回しが困難なら周囲に助けを呼ぶ。
何もかもを「一人でやらなきゃ!」と気負ってしまっていた私ですが、雪さんのその柔軟な姿勢と行動力に、学ぶものも多かったです。
トイレに行くと雨が更に強くなってきたので、三人ともヘルメットを被ります。
「でも、人からはどう見えるんでしょうね〜? 女三人が、ヘルメットを被り並んで歩いてる姿は」
雪さんが笑いながら言うので、笑いが起きます。
「もうオフ車乗りは変態だから諦めましょう」
とヨシローさん。
「なんかフルフェイスだから、足元が見えにくいんですよね」
階段を降りながら私が言うと、
「大丈夫、万が一転んでもヘルメットをしてるから。安全です」
ヨシローさんが返すので、「確かに、ある意味安全ですね」と頷きました。
「あと私、地元だから知り合いにこんな姿を目撃されちゃったらどうしよう、ってさっきから気になってるんですよね」
私が笑いながら言うと、またもヨシローさんが、
「そこはヘルメットで顔が見えないから大丈夫!」
と親指を立ててくれます。
「なるほど〜、ヘルメットは万能ですね」
私のネガティブ発言を、ポンポンとポジティブな言葉で切り返してくれるヨシローさんの気質が、なんとも心地よく、爽やかな気分にさせて下さいました。
バイク駐輪場に到着します。
ここから、雪さんおすすめのカフェへと移動することになっていました。
私と雪さんがグローブを嵌めるのに手間取っていると、ヨシローさんは既にセローを移動させてスタンバイが完了していました。
私は一人でなんとか取り回しが出来ましたが、雪さんは駐輪スペースの段差に苦戦してしまいました。すかさずヨシローさんが手を貸します。
ごく自然にそれをやっている姿に、バイク仲間って素敵だなぁと思いました。
雪さんが先導で、一番初心者の私が真ん中、最後尾はヨシローさんという順番で走ることに決まりました。
「私、道があやふやだから迷っちゃったらすみません」
雪さんが言うのを、
「そしたら三人で仲良く迷いましょう。大丈夫、道は全て繋がっています!」
ヨシローさんが頼もしく返します。
皆で仲良く走り、皆で仲良く迷う。万一何かがあってもお互い様。
そして起きる全てのことを楽しみ、共有し合い、協力し合う。
その姿勢がマスツーリングの基本なのかもしれない、とその時思いました。
三人の準備が整い、いよいよ出発です。
約45分のショートツーリング。でも土砂降りの中での走行。
出会ったばかりの3台のセローが、今、確固とした『絆』を感じ、走り出します──。