アクセルグリップ握りしめ

オフロードバイク、セローと共に成長していく、初心者ライダー奮闘記

海求め川求め〜近場の冒険 後編

ショッピングモールを後にし、海沿いの道を目指して走ります。

 

神奈川県内において海沿いの道といえば、国道134号線を指し示します。

私も海沿いと言えばそこばかりを走っていたのですが、今日はあえて違う道に入り、海のすぐそばまで行ってみようということになったのです。

 

ですが、地図上では134号線より奥に道はあるものの、どこからどう行けばそこへ入れるのかが分かりません。下から潜って行けるのか、どこかから入り込める小道があるのか。

地図を見てもいまひとつよく分からず、Sさんもそれは知らないようでした。

しかも、国道134号線は流れもよく車通りも多い複数車線。考え込んでウロウロしていられる道ではないのです。

そんな中、Sさんは多分ここをこう行けばこっちに出れると思う、という勘だけを頼りにバイクを走らせます。

 

 

途中コンビニに寄り、海を見ながら食べようと、飲み物とおやつを買いました。

私が苺のマカロンを手に取ったのを見て、「また苺ですか」とSさんが呆れます。

 

小道に入り、海方向へと走り進めます。

堤防沿いの道が見えましたが、その道までの入り方が分からずウロウロしました。進んで停まり地図を見て戻り、また進んで停まりの繰り返しです。

お陰で今日一日だけで、ずいぶんUターンが上手くなりました。

 

海はすぐ近く。

なのに中々たどり着けない。

バイクを走らせていると、そんなことが往々にしてあります。

 

行きたい場所への決まりきった道を走るのではなく、そうやって独自の目標を決め、走ってみて『自分のルート』を開発していく。そんな走りもいいものだと思いました。

 

その後ようやく堤防沿いの道に入れたので、バイクを停めて写真を撮ります。

 

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先程コンビニで買った、飲み物とマカロンでおやつにします。

 

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釣りをしている人がたくさんいました。

私やSさんのように、海を眺めている人も。

やはり海は落ち着きます。時間がゆったりと流れていきました。

 

 

バイクに跨り、そこを後にします。

 

河原にバイクの乗り入れが出来る所があるから、そこへ行ってみようということになりました。

Sさんは小道を進んで向かいたかったようですが、途中、車両走行不可の踏み切りにぶち当たったので、Uターンして国道まで引き返します。

 

「この道は何度も通ってるから、正直飽きたんですけどね」

Sさんがこぼすのを聞き、凄いなぁと思いました。私はまだやっぱり、走り慣れた道が落ち着きます。

 

国道を抜け、有名な揚げパン屋さんに行きます。

河沿いでパンでも食べようということになったのです。

苺を食べ尽くし、ステーキ丼を平らげ、おやつにマカロンも食べたというのに、夕飯前のその時間にもうお腹が空いていました。

そのパン屋でも苺のコッペパンを買ったので、またも呆れられてしまいました。

 

購入したパンを持ち、河原の道へと入ります。

大きな石の転がっている所を通り抜け、草むらにバイクを停めました。

 

 

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岩に腰かけパンを頬張ります。

「河原でパンを食べるだなんて、なんか青春みたいだね」

私が言うと、

「じゃあ夕陽に向かって叫びますか」

とSさんが返します。

でも残念ながら、既に陽は沈んでしまっていたので静かに食することにします。

 

もっと河原でゆっくりする予定でしたが、あまりにも寒いので、食べ終わるやすぐに移動しました。

 

 

 

そしていつもの『反省会』の場所へとやって来ます。

「なんか今日はツーリングというより、ただ遊んだだけのような気がする」

「そんなには走ってないですしね」

そう。なのでこの時点では、今日のことをブログ書こうかどうしようか迷っていたのです。

苺狩り、公園散策と筋トレ、ボウリング、海と河原。

移動手段がバイクだっただけで、やってることは、ほぼ休日のレジャーと変わりません。

 

 

「今日は近場を走っていただけなのに、やっぱり一緒に走るとなんか楽しいんだよねぇ。一人で走る時と、一体何が違うんだろ?」

次はここへ行ってみようとその場で思い付くことも、海を目指して迷いながら小道を走ることも、あえて違う道を選んで引き返したりしたことも、やっぱりとても参考になり、そして楽しかったのです。

「経験値の差じゃないですかね?」

「う〜…、またそれかぁ。なんか悔しいなぁ。私だってソロツーリングの計画を頑張って立ててるのに。なんでいっつもそれを軽々と越えてくるのよ?

せめて、私を楽しませられるツーリングは、自分自身で企画したものが一番だって言えるようになりたいなぁ」

「大丈夫ですよ」

Sさんがホットドリンクを飲みながら言います。

「スタンプラリーを終える頃には、2年分は成長してますから」

 

スタンプラリーとは、春から私が挑戦しようと目論んでいる、とある企画のことです。

ライダー経験値を上げるために挑戦することに決めたのです。

「う〜ん、そうだといいんだけど」

今ひとつ実感が持てませんでした。

「スタンプラリーは、思うようにいかないことが必ず出てきます。それを乗り越え、対処していくことによって、段違いに成長出来るんです」

「いつものロンツーとどう違うの?」

「まず、無駄なく動くためにルートの組み方をよく考えなければいけません。限られた時間でいかに効率よく回るかが重要になって来るんです。

だから、例えいい景色だとしても、見たいものがあっても、時間が迫っているなら移動しなければいけません。そういうシビアなものなんです」

 

両手でホットドリンクを包みこみながら、考えこみます。

スタンプラリーはSさんも経験済みで、その様子を彼自身のブログに認めていました。

 

http://zekkei-tabirepo.hatenablog.com/

 

確かに、楽しむというよりは、『ミッションをこなすもの』という感じで、私はずっと魅力を感じることが出来ませんでした。

Sさんが続けます。

「限られた時間でなるべく多くを巡らなければいけないだけじゃなく、色んなことを考えなきゃいけないんですよ。営業時間、トイレ休憩を取る場所。走ってりゃ腹だって減りますし、給油のタイミングだって重要になってきます」

Sさんが過去のツーリングで燃料切れを起こし、何kmもの道のりをバイクを引いて歩いたことは聞いたことがあります。

トラブルが起きてチェックインが夜中の2時を過ぎたことも、2時間睡眠で走りに出たことも、ろくに食事も取らずに走り続けたことも。

 

でも、私の懸念材料はそんなことではありません。

「なにも起こらなかったらどうしよう?」

「はい?」

「なにも起こらず、ただ淡々とスタンプを集めて何も学べずに終わってしまったら。そしたら私はどうしよう?」

ライダーとして成長する為に、大きな覚悟をもってやることに決めたのです。なのにそこからなにも学ぶことが出来ずに終わってしまう。私には、それが何より怖かったのです。

 

「そんなことは多分ないとは思いますよ。でも」

Sさんが言います。

「今のその気持ち、是非書いておいて欲しいもんですね。そしてスタンプラリー終了後、どういう変化が起こったか、比べてみるといいですよ」

 

…と。

こういうやり取りがあったため、今日のことを書こうと決めました。

 

なににせよ、春からの挑戦に向け、買い揃えなければいけないものも、やらなければいけない修行もまだまだ沢山あります。

私のライダー修行はまだ始まったばかりなのです。